老後に向けてやるべきこと
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自分たちの老後資金が足りるかを判断するには、老後の世帯の総収入と総支出を比べ、過不足の金額を把握する「収支表」を作成するのが比較的簡単です。
収支表を作成した結果、老後の収支はマイナスになることが少なくありません。しかし、生活費を少し抑えればそうしたマイナスは解消されることがほとんどです。
「節約しょう」ではなく「支出の配分を見直そう」と考えてます。
「節約」は生活満足度の低下を生む
「節約」とは、無駄遣いを極力なくすように努めると云うのが一般的に思われますが、何が無駄遣いかを決めるのは実は難しい。
興味深いのは、生活費が少ない人は「まだ無駄遣いがある」と云い、生活費が多い人は「無駄遣いしていない」と云うことが多い。
月の生活費何を減らせますか?一番多いのが食費と云う答えです。しかし食費の削減は実行に結びつき難く、効果が少額では…と感じています。
大切なのは、現在の支出の費目ごとの使い方を把握し、それに応じた改善を考えることだと思ってます。
「節約」ではなく、支出の配分を適切に見直す
支出の配分を最適化するには、まず費目ごとの金額を正確に把握する必要があります。費目ごとの平均値に対する比率と、その費目で購入している物やサービスにどの程度満足しているか?この 2 つを明らかにすることです。
例として
★平均値は総務省統計局「家計調査」(2020)より 2 人以上の世帯のうち勤労者世帯の全国平均です。
★住宅費の平均値のみ総務省統計局「住宅・土地統計調査」(2018)より全国平均の家賃と共益費・管理費の合計です。
この 2 つの要素で 2 軸マトリックス(縦軸に満足度、横軸に対平均値)を作成することにより、費目を 4 つのグループに分類します。上の例のマトリックスが、以下の図です。
①「問題」:お金をかけていて満足度が低いのは何か理由があり、最優先の改善費目
➁「機会」:許容できる範囲で満足度を落とし、金額を減らせる余地がある費目
③「検討」:支出増により満足が上がるならば、生活費総額を踏まえ検討する費目
④「優良」:家計の貯蓄を生み出している費目。
改善項目の優先順位
最も改善の優先順位が高いのは ① で、それを ➁ か ③へ、最終的には ④ に改善することを目指すのが基本的な考え方です。
改善すべき項目を明確にすることが重要です。すべての費目を ④ にしようとする必要はありません。
➁ に生活全体の満足度への影響が大きい費目があり、使う金額が満足度に直結するのであれば、その費目はそのままにして他の ① や ➁ に分類された費目の改善で生活費全体の目標金額に収めることができないかを考える。
マトリックスでは項目を示す円の大きさと金額の多さを比例させています。
金額が多い項目は改善優先順位が高いと考えます。金額が多いほうが当然、改善効果も大きくなる可能性が高いからです。
① に分類された教養娯楽費、通信費、保険料はお金を使っていながら満足度が低い理由を確認し、最優先で金額削減と満足度の向上を図ります。
➁ で対平均値の高さが目立つ被服費は、こだわりがあるなどで生活全体の満足度への影響が大きいのであれば、そのままにするのも選択肢です。
③ では金額が多い住宅費の満足度が低いことが目立つため、支出が増える見直しも排除せず満足度を上げる方法を検討します。
金額と満足度の 2 つの観点から改善すべき項目を明確にすることで、支出の配分をより適切にし、生活費全体の抑制と満足度の維持向上の両立を図ります。
生活満足度
「収支表」を作成して老後資金が足りないという結果になったとしても、生活費を少し抑えればマイナスは解消されることが多い。
大切なのは、現在の支出の費目ごとの使い方を把握し、それに応じた改善を図ること。
具体的な支出の見直しには項目別の支出額の把握が必要です。3 ヶ月間続けることができれば見直しのための傾向は把握できます。
自分に合った支出の見直しにぜひ取り組んでください。
項目別の支出額を把握するには…
生活費の総額がわかり、生活費を具体的に見直したいという場合、項目別の支出額に基づいて改善すべき項目を見極めるのが効果的です。
エクセルのファイル、あるいは印刷物の家計簿をつけるというのが基本的なやり方ではありますが、もう少し手間を省いて把握する方法を 2 つ紹介します。
1 つ目は、スマートフォンの家計簿アプリを利用する方法
有名なアプリには、銀行、クレジットカードなどのデータを自動的に取込む、あるいは現金で購入したレシートを撮影することで読み込む機能が備えられたものも多いです。
最初に設定してしまえば、あとは家計簿作成を自動的に行ってくれる部分が多いので、かなり手間が省けます。
利用のコツは、生活費の支払いに使用する銀行とクレジットカードをあらかじめ絞り込むことです。連携できる金融機関の数に制限があるアプリが多いですし、数が多いと最初の設定の負担も増えます。
また、バーコード決済は連携の対象外となっているサービスも多いので注意が必要です。
2 つ目はクレジットカードの明細と銀行通帳から項目別に支払い金額を集計する
コツとしては、なるべく現金での支払いをせず、現金で支払わなければならない場合は必ずレシートをもらうことです。
バーコード決済は、支払い履歴を見ることができるのはアプリ内だけで、ウェブサイトで PC から見ることができない、あるいはダウンロード機能がないものが多いため、集計作業がしにくい点に注意が必要です。
具体的な生活費の見直しには項目別の支出額の把握が必要ですが、長期間続ける必要はなく、3 ヶ月間続けることができれば対策のための傾向は把握できると考えています。